風邪の時、鍼灸治療を受けていいのか?
→むしろ積極的に受けると風邪が早く治る
◆風邪症状に鍼灸治療は有効
「風邪気味だけど、鍼灸を受けても大丈夫?」
そんな質問をよくいただきます。
結論から言うと、風邪に鍼灸治療はとても有効です。
体が本来もつ回復力を引き出すことで、症状を鎮めることができます。
ここでは、風邪に対して効果的な代表的なツボと、
東洋医学的な考え方を分かりやすくまとめました。
◆風邪の初期には「大椎」のお灸
風邪のひき始めは、首のつけ根にある 大椎(だいつい) が冷えて抵抗力が落ちやすいと考えます。
大椎にお灸をして温めることで、
悪寒
首・肩のこわばり
微熱
咽頭違和感
が改善し、「これ以上ひどくならないようにする」助けになります。
「ちょっと寒気がする」「喉がイガイガする」という段階での施術が特に効果的です。
◆ 風邪でよく使う基本のツボ(頭・首まわり)
風邪の症状は“外邪(がいじゃ)”が体表に侵入した状態と考えます。
その出口にあたるのが首〜後頭部のツボ。
● 風池(ふうち)
首の後ろのくぼみ。頭痛・悪寒・肩こりに。
● 天柱(てんちゅう)
風池の内側。首の張り、頭重感、目の疲れにも。
これらを緩めることで、首肩の緊張がほどけ、頭痛が軽減し、発汗しやすくなり風邪の進行を抑えます。
◆ 喉が痛いときに腎経、大腸経
喉の痛みが強いときは、体の下半身にある腎経(じんけい)、大腸経のツボを使ってバランスを整えます。
太鐘(たいしょう)
水泉(すいせん)
復溜(ふくりゅう)
腎経は「水分代謝・体の潤い」を司る経絡で、喉の乾燥やヒリヒリ感に有効です。
足のツボですが、喉の炎症がスッと引く方が多く、風邪の中期にも活躍します。
◆ 鼻水・鼻づまり・咳に使うツボ
鼻や咳の症状が出てきたときに重点的に使う経絡は肺経・大腸経。
● 肺経
大淵(たいえん)
経渠(けいきょ)
呼吸の通りを改善し、咳・喉のつまり感を和らげます。
● 大腸経
温溜(おんる)
偏歴(へんれき)
鼻水・鼻づまりに特に良いツボで、アレルギー性鼻炎にもよく用います。
◆ 頭痛には「肝経」や「腎経」、「胆経」、「膀胱経」
風邪のときの頭痛は、首肩の緊張と自律神経のアンバランスが大きく影響します。
東洋医学では、
ストレス → 肝経の滞り
体力低下 → 腎経の弱り
として現れます。
そのため、足の肝経・腎経のツボを使うと頭部への余分な熱が下がり、頭痛がスッと軽くなることがあります。
◆ 発熱時は「手の水かき」に解熱のツボ
発熱時、両手すべての“水かき”の部分には熱を下げるツボが集まっています。
軽い刺激でも発散作用が強く、
熱感の軽減
のぼせ
体の火照り
に効果があります。
◆ 長引く咳・こじれた風邪には「膏肓(こうこう)」にでる
「病 膏肓に入る」 ということわざにあるように、
風邪が長引き、背中が重だるい・咳が止まらない場合、**肩甲骨の内側(膏肓付近)**に腫れや圧痛が出ることがあります。
ここは肺と深くつながる「風邪の残りカス(邪気)」がたまりやすい場所。
この部分を中心に治療していくと、
背中の重さ
長引く咳
回復の遅れ
が改善し、一気に治り始める方が多いです。
当院の治療では「自家製のシップ」を使います。
◆ 風邪のときこそ鍼灸を受けると回復が早い
● 風邪の初期 → 大椎へのお灸で悪化を防ぐ
● 頭痛・悪寒 → 風池・天柱
● 喉痛 → 腎経の太鐘・水泉・復溜
● 鼻水・咳 → 肺経・大腸経(大淵・経渠・温溜・偏歴)
● 長引く風邪 → 膏肓付近の治療が決め手
風邪は、こじらせる前に対処できるかどうかで治りの早さが大きく変わります。
鍼灸は“体の回復力を最大限に引き出す治療”なので、風邪の初期ほど効果が高く、短期間で改善しやすいのです。
「風邪っぽい…」と思ったら、ぜひ早めにご相談ください。
症状が軽いうちにケアすることで、仕事や学校を休まなくて済むケースも多くあります。
たまはりきゅう院 院長 田巻和洋
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