精索静脈瘤でも鍼灸治療で自然妊娠できました。
今日の患者さんは男性不妊症を訴える30代前半の男性
同じく不妊治療で鍼灸治療をうけている奥様からのご紹介です。
具体的な症状は精子数が少ない、運動率が良くないとのこと。
「精索静脈瘤」
という診断を受けています。
補中益気湯という漢方薬を服用するが効果はなかったとのこと。
医師からはオペを薦められているそうです
その他の症状は特になし。
以上のことは、不妊治療を始めるにあたって病院で精液検査をしたところ異常が見つかったそうです。
乏精子症、精子運動率の低下のうち35%の原因は精索静脈瘤と言われています。
外科的には手術もあり術後は50~80%の割合で精液所見は改善すると言われています。
しかし、男性側からすればそんなところにメスをいれるのはかなり抵抗があります。
できることならオペをせずに精子の運動率、精子数を改善したいというところです。
さて東洋医学的には男性の生殖機能も腎経または肝経に配当されます。(女性と同じです)
純粋に精巣の機能というと腎経ということになります。
肝経はどちらかというと性欲などにかかわることが多いです。
精子の素となる精祖細胞が成長して精子になるまで約80日かかると言われています。
以上から少なくとも3カ月から1年くらいは治療していく必要があります。
・治療間隔
週1回のペースで治療開始することになりました。
○治療の実際
・平成27年8月1日 治療1回目
左 腎虚証 にて復溜、列缺を補法。
列缺は任脈の宗穴といわれており生殖機能の深いところに影響すると言われています。
(任脈の図)
・平成27年9月19日 治療5回目
適応測を左から右に変えて治療。
証は同じく腎虚証で太谿、復溜、列缺を使う。
・平成27年12月1日 治療から4か月目
この時点で行った精子検査で運動率、精子数ともに正常値まで改善がみられました。
引き続き安定のために治療は続けます。
・平成27年12月12日 治療13回目
右の肝虚証に変えて治療 曲泉、陰谷を補法。
・平成28年3月12日 治療18回目
2月の精子検査の結果がよくない。運動率、精子数とも低値。
結果があまりよくないので病院から精索静脈瘤の手術を勧められたとのこと。
証を腎虚証に変えて治療。 左 復溜、列缺を補法。
・平成28年3月19日 治療19回目、20回目
腎虚証 右 復溜 列缺 を補法
ここで治療は打ち切りとなる。
しばらく連絡がありませんでした。
私もオペに挑んだのだろうと考えていたところでした。
夏の暑い日でした。
8月奥様が治療院に来院され、
「妊娠(自然)できました。本当にありがとうございます❗❗」と喜びの声。
結局 ご主人は精索静脈瘤の手術はしなかった。
四月に自然妊娠し11月に出産の予定とのこと。
精子検査の結果から、西洋医学的には自然妊娠は難しいと思われていましたが、それをクリア。
治療に8カ月 ほぼ週一のペースで治療に励んだ主人の努力の成果でしょう。
この分野、結構な確率でこのような例はでてきます。
検査値だけが全てではないことをあらためて認識しました。
考察
精子検査で精子の運動率、精子数が少ないといった男性不妊に関連する事例は多くなっています。
精子が細胞から成熟するまで3カ月かかるので鍼灸治療もそれ以上の期間続けていかなければ効果は出にくいようです。
今回は8カ月の治療期間がかかりましたが自然妊娠できました。
症例によっては5-6回の治療で改善することもありますが一定ではありません。
生殖機能に関して言えば治療に時間のかかることがほとんどです。
今回のように辛抱強く治療を続けることが必要です。
以上
1589
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント